キャッシュフローは、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローの3種類あり、一定期間における現金(キャッシュ)の増減を表したものです。
<営業キャッシュフロー>
営業活動により発生します。実際の現金収入からそれに伴う支出を差し引き、プラスであれば事業活動を通じてお金が増えたということになります。
<投資キャッシュフロー>
事業活動への投資により発生します。土地や設備など、事業を発展させるには投資が必要です。
従って、投資キャッシュフローは通常マイナスとなります。これは将来のより大きな成果を得るために必要な支出だといえます。反対に、資産を売却すれば、プラスになります。
<財務キャッシュフロー>
営業活動や投資活動のために、銀行からお金を借りたり・返したり、また株主から調達したり・配当したりすることにより発生します。プラスであれば、資金調達をしているということになります。
▽営業キャッシュフローと投資キャッシュフローに注目!
キャッシュフロー計算書は、事業に投資をして現金収入を得るというサイクルの、現金収支を見るためのものです。投資・収入のサイクルは、長期にわたることが多いため、キャッシュフローも長期で見ることが重要です。
縦軸に投資キャッシュフロー、横軸に営業キャッシュフローをとったマトリクスでみると投資と収入のバランスを見ることができます。右に行くほど利益を上げている、また、下に行くほど投資をしています。
優良企業と呼ばれる企業は、利益と投資のバランスが良く、キャッシュフローが右下に伸びています。
貸借対照表は企業の財政状態です。
BSはBalance Sheetの略で、ビー・エスとも呼ばれます。
財政状態とは、企業が資金をどこから「調達」し、どのような形で「運用」しているかを表します。
貸借対照表を見るのは、人の健康状態をチェックするのに似ています。
たとえば、徹夜で仕事をして短期的な成果が上がったとしても、体を壊してしまっては翌日以降の仕事に悪影響が出てしまい、継続的な成果を出すことは難しいでしょう。無理せず、持続可能な健康状態にあるかを把握することが重要です。
企業活動でいえば、過剰な投資をしたり、無理な企業買収を行ったりすると、財務的に無理をすることになり、健康でいられなくなります。
▽貸借対照表は絵で理解!
貸借対照表を見るポイントは、全体をざっくり把握し、重要な項目を押さえるということです。
シェアーズのグラフでは、最大10年分の貸借対照表を比較することができます。
この際、細かい数字を積み上げて読むのではなく、全体を見て面積の大きいところをチェックして、その項目がどう変化しているのかを把握します。
数字の羅列としてではなく、グラフとして視覚化することで、どの項目が重要なのかが分かりやすくなります。
損益計算書(PL)は一定期間における経営の成果です。
PLはProfit and Loss statementの略で、ピー・エルとも呼ばれ、下記の計算式で表します。
利益 = 売上 - 費用
「売上」という成果をあげるために、「費用」を使って、結果としてどれだけ「利益」を得たのかということです。
▽損益計算書は5年以上の推移を見る!
損益計算書を見るポイントは2つあります。
5年分のデータを並べてみると、その会社が安定的に伸びてきたのか、売上や利益が安定しないのか等の傾向が分かります。売上に対する利益(利益率)が高い、または、毎年順調に売上・利益が伸びているほど良いといえます。
損益計算書は、長期間で見ることが会社を理解する上での鍵となります。
業績が良い企業とはどのような企業でしょうか。
いずれも当てはまりますが、さらに、「効率性」という分析視点があります。
それは、どれだけの資産を使って、どれだけの利益を出したかということです。
例えば、1億円の利益を出している企業があるとします。
しかし、そのために1,000億円の資本を投下した場合と、5億円の資本を投下した場合では効率性が大きく異なり、後者の方が資金効率が良いと言えます。
資本の効率性を見るには、貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)の両者の関係を見ます。
BSとPLの関係性を表す指標にはROAやROEが存在しますが、この2つの指標は投資家目線で考えた際、ROAは必要な項目以外を加味しており、ROEは財務レバレッジ(借金)という変数を加味していないため、必ずしも適しているとは言えません。
▽ROIC指標が便利!
企業の効率性をより正確に把握するための指標が「ROIC」です。
ROICはReturn on Invested Capitalの略語で、「ロイック」や「アールオーアイシー」と呼ばれ、下記の計算式で表します。
ROIC (%) = Return ÷Invested Capital
Invested Capital、すなわち投下資本に対して、どれだけのReturn、利益を得られたかを表す指標です。
投下資本とは、事業活動に投じた資本で、有利子負債と株主資本の合算値と考えます。
また、利益は営業利益に税金を考慮した数値を用います(税引き後営業利益と呼びます)。
つまり、利益を投下資本で割ったものがROICであるということになります。
ROICもP/LやB/Sと同様、5年程度の推移で見るのが効果的です。
ROICツリーは、ROICそのものの推移を見るだけでなく、貸借対照表・損益計算書で比率の大きな部分と関連付けて、ROICを変化させた主な要因が何かを見ることが重要です。
たとえば、ROICが右肩上がりで、有形固定資産が貸借対照表の大きな部分を占めている企業があるとします。
この場合、有形固定資産の効率性、つまり、有形固定資産回転率がポイントとなり、有形固定資産回転率も同様に右肩上がりの推移をしていると、投下した資本を上手く運用し、利益に繋げているといえます。
ROICは10%以上を継続していること、また、上昇基調にあることが望ましいと考えられます。
企業価値評価(バリュエーション)とは、企業の値段を知るためにM&Aでよく使われる手法の1つです。
将来生み出されるキャッシュフローを現在価値に割引くという手法です。この手法は、いまや世界標準として多くの場面で用いられています。
▽割高・割安はこう考える!
「企業価値」とは、財産価値(どのくらい資産を持っているのか)と事業価値(これからどのくらい収益を上げられるのか)を合算したものをといいます。事業価値は企業が将来的に生み出す各年のフリーキャッシュフロー全てを、現在価値に割引いて合計したものです。
この企業価値は株主だけのものではなく、株主以外にも銀行の出資分である有利子負債(借金)を差し引いたものが、投資家が得る株主価値となり、それぞれ下記の計算式で表します。
企業価値 = 事業価値 + 財産価値
株主価値 = 企業価値 - 有利子負債
なお、株主価値と時価総額を比べることで市場からの評価を判定することができます。
株主価値 > 時価総額 市場からの評価が低い【割安】
株主価値 < 時価総額 市場からの評価が高い【割高】
営業利益倍率(EV/EBIT倍率)・株価収益率(PER)・キャッシュフロー倍率(PCFR)・純資産倍率(PBR)の4つの指標を同時に見ることで、市場からの評価を多面的に知ることができます。
▽営業利益率(EV/EBIT倍率)
営業利益率は、時価総額(株主資本の時価)に有利子負債を足し、そこから現金を控除したものをEV(Enterprise value)(企業価値)と定義し、EVをEBIT(営業利益)で割って評価します。
市場で付けられている価格と営業利益とを比較し、その企業の株価が高いか安いかを判断する材料として利用します。企業が事業に投下する資本から得られるリターン(営業利益)を求めるという考え方に基づき、一般的には、8~10倍より小さいと割安とされます。
▽PER
PERはPrice Earning Ratioの略で、時価総額と純利益の関係を示します。
(一株あたりに換算し、株価を1株あたりの利益で割ったものでも同様です)。
この指標は、現在の株価が現状の利益の何年分まで見越して値段をつけているかを見ることができ、市場がどのように企業収益に対して評価しているかが分かる指標で、つまり、PERは「利回りの逆数」であるということになります。
一般的な株式の利回りは6~8%であるため、その逆数であるPERが15倍以下(約7%=1÷15×100)の株式は、割安だと言われます。
▽キャッシュフロー倍率(PCFR)
キャッシュフロー倍率(PCFR)はPrice Cash Flow Ratioの略で、時価総額とキャッシュフローの関係から企業の割安度合いを示し、時価総額をキャッシュフローで割ることで求めます。
純利益が出ていても、キャッシュフローが出ていなければ、利益を上げているとはいえないため、キャッシュフロー倍率はPERと同時に確認するのが効果的です。
例えば、PERが正常でもPCFRがマイナス値になっていれば注意ということになります。
▽PBR
PBRはPrice Bookvalue Ratioの略で、時価総額とB/S上の純資産の関係から企業の割安度合いを示し、時価総額を純資産で割ることで求めます。(一株あたりに換算し、株価を1株あたりの純資産で割ったものでも同様です)。
簿価の株主資本を市場がどの程度の評価をしているのかが分かります。
一般に、1.0倍以下だと割安だと言われます。しかし、貸借対照表にのっている資産が額面どおりの価値を持っているとは限らず、低PBR銘柄であっても、その資産構成(現金や有価証券等の財産)を把握しておく等の注意が必要です。
【ディスクレイマー】
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