
FXのロールオーバーに関しては、スワップポイントが付与されることから慣れ親しんだ言葉かもしれませんが、CFD取引においてもロールオーバーは存在します。CFD取引で発生するロールオーバーは、保有しているポジションを取引最終日までに決済し、次の期限以降のポジションに乗り換えることを指します。
GMOクリック証券のCFDサービスでもそうですが、CFD取引のロールオーバーには3種類の調整額(金利調整額、権利調整額、価格調整額)が発生することから、まずはこの調整額とは何なのかを紹介し、投資家にとって調整額はどのようなメリットがあるのかも合わせて解説します。
CFD(差金決済取引)は?

CFDとは「Contract For Difference(差金決済取引)」の略語であり、投資対象である原資産の受け渡しをせず、売買で発生した損益だけをやり取りする金融商品です。投資対象は株価指数・個別株・債権・金・原油など、さまざまな銘柄を取引することができます。FX(外国為替証拠金取引)もデリバティブ商品であることから、広義な意味ではCFD投資に分類されます。また、レバレッジをかけた取引も可能なため、資金効率の高い取引を行うことができます。
CFD取引のロールオーバーとは

上述した通り、ロールオーバーとは、保有しているポジションを取引最終日までに決済し、次の期限以降のポジションに乗り換えることです。CFDでは、限月の乗り換えなどといった表現の仕方もします。
メリットとしては、投資対象である資産の受け取りを延ばすことで、ポジションを継続的に保有することができます。また、本来ポジションを建て直すには利益が出ている状態、損失が出ている状態関係なく、一度値洗い損益を実現損益として計算しないとならない点、スプレッドコストがかかってくる点が懸念されますが、この点を払拭するのが調整額ということになります。そのため、CFD銘柄を長期保有したいと考えている方には有利な点と考えられます、なお、株式市場やFX(外国為替取引)など、投資対象によって同じロールオーバーでも意味が異なるケースがあり、CFD取引においては3種類の調整額の違いに繋がります。
CFD取引で発生する3種類の調整額

CFDの取引では、取引銘柄の種類により「金利調整額」「権利調整額」「価格調整額」という呼び名の調整額が発生します。各調整額の名称や取り扱い方法は、会社によって異なる場合があるためご注意ください。本記事では、GMOクリック証券の調整額のルールを紹介します。
金利調整額
金利調整額とは、CFDのポジションを翌営業日以降に持ち越した(ロールオーバー)ときに発生する調整額を指します。金融機関によっては、オーバーナイト金利とも呼ばれています。GMOクリック証券で取り扱う銘柄で対象となるのは、金スポット、銀スポットになります。
スポット銘柄の金利調整額は、GMOクリック証券がカバー先と行うロールオーバーのスワップポイントをもとに当社が決定するものです。金利調整額については、FXで付与されるスワップポイントとほぼ同等であると考えた方が分かりやすい調整額です。
権利調整額
権利調整額とは、原資産が株式などのCFDに対して発生する調整額のことを指します。配当金や分配金の支払い、コーポレートアクションが実行されたときに株主が受け取れる権利を、CFD保有者にも付与する調整額です。
コーポレートアクションの具体例としては、スピンオフした場合などが挙げられます。スピンオフとは、自社内の特定の部門を新しい会社として独立させることです。スピンオフの際は、独立した会社の株式が元の会社の株主に交付されることがあります。このとき付与される株式相当額が、権利調整額として支払われるケースがあります。
CFDを買いで保有している場合は権利調整額の受け取り、逆にCFDを売りで保有している場合は支払う必要があるため、注意が必要です。GMOクリック証券で取り扱う銘柄としては、ETF(株価指数連動型)、ハイレバレッジ型ETF、ETN、株式CFDなどが対象となります。
価格調整額
価格調整額は、原資産が先物のCFDに発生する調整額のことを指します。金融機関によってはキャリングコスト(限月のある銘柄を持ち越した場合、その建玉を維持するために必要な証拠金に対して一定の料率を掛け合わせた金額)とも呼ばれています。
先物取引の期限を迎えてもポジションが自動で繰り越され、そのときに発生するのが価格調整額ですが、CFD取引で価格調整額があることで期限満期のポジションを決済する必要なく、ポジションを保有することができることは、投資家にとっては非常にポジティブな内容になります。
CFDが参照している先物は、出来高が1番多い限月です。しかし、先物には期日があり、期日以降は取引ができなくなってしまいます。一方、CFDには期日がないので、参照している先物が期日を迎える前に、参照する先物を期近から期先へ変更する必要があります。しかし、先物の期近と期先は価格が異なっているのが通常です。そのため、CFDが参照する先物を期近から期先に変更するとCFDの価格も変わってしまうため、価格調整額が重要になります。
GMOクリック証券で取り扱う銘柄では、株価指数先物、商品CFD(金スポット、銀スポット以外)、バラエティCFDが対象となります。
3種の調整額のまとめ
金利調整額:参照原資産が株式等のCFDやスポットのCFDに発生する調整額で、ポジション(買いまたは売りの注文を出している状態のこと)を翌日に持ち越した場合に発生する
権利調整額:参照原資産が株式等のCFDで発生する調整額で、参照原資産の株式等で配当金等が支払われた際に発生する
価格調整額:参照原資産が先物のCFD(先物の価格を参照して作られるCFD)に発生する調整額で、先物の限月を乗り換えることによって損益が生じた場合に発生する
簡素に内容をまとめると、上記のようになります。金利調整額については、ポジションを持ち越した場合に付与される金利になります。GMOクリック証券の金スポット、銀スポットについては、ロコ・ロンドンでの貴金属取引となるため、FXで考えるとポンド/米ドルの同じ付与日となるので、この点を覚えておくといいでしょう。
権利調整額については、参照原資産の株式等において配当金・分配金の支払いが行われると、CFDポジション保有者には権利調整額として配当金・分配金相当額が支払われます。参照原資産の株式等において配当金・分配金の支払いやコーポレートアクションがあった場合は、CFDでも権利調整額として受け取れる(支払わなければならない)と覚えておくといいでしょう。
価格調整額については、CFDの参照原資産である先物の限月を乗り換えることによって、CFDの建玉に発生する評価損益を調整することを指します。価格調整額の意味合いとしては、参照する先物の限月を切り替えたことによってCFDの価格が変わってしまうと、CFDのポジションを持っている人は相場が変動していないのに評価損益が変動することになってしまいます。価格調整額は、その評価損益を相殺するために発生します。
また、評価損益を調整する他に金利や手数料の名目で投資家に負担させる場合がありますが、一部の銘柄(※)を除き、GMOクリック証券ではこれら全てGMOクリック証券が負担していることもあり、スプレッド以外にも非常に有利な投資環境が整備されていると考えられます。
※米国VIのみ金利負担があります。
CFD取引で発生する調整額の確認方法

調整額の確認方法ですが、業者によって見方は異なりますが、GMOクリック証券では、会員ページの建玉一覧などで発生金額を確認可能、過去履歴も会員ページで確認可能です。
調整額の発生要件は、取り扱い業者によって異なります。FXでいうスプレッド、スワップポイント、建玉上限など、業者を選定する際には重要視するのと同じように、CFDにおいても業者選びは非常に重要です。FXよりもルールが複雑な金融商品であるため、よりよい業者選定は相場と長く付き合っていく上で欠かせません。
まとめ
デリバティブ金融商品として、急速に人気が出ているCFDですが、FXと比較するとどうしてもルールが難しく、聞きなれない用語などもでてきます。今回解説した調整額なども、初期段階で躓いてしまう要因の一つになるでしょう。ただ、一度内容を把握してしまえばそれほど難しいものではありませんので、3つの調整額とはどんなものなのかをまずは覚えておきましょう。おさらいのために改めて記載します。
金利調整額:参照原資産が株式等のCFDやスポットのCFDに発生する調整額で、ポジション(買いまたは売りの注文を出している状態のこと)を翌日に持ち越した場合に発生する
権利調整額:参照原資産が株式等のCFDで発生する調整額で、参照原資産の株式等で配当金等が支払われた際に発生する
価格調整額:参照原資産が先物のCFD(先物の価格を参照して作られるCFD)に発生する調整額で、先物の限月を乗り換えることによって損益が生じた場合に発生する
CFDを始めたい方は取引コストが安い「GMOクリック証券」を検討しよう

GMOクリック証券では、株価指数CFD、商品CFD、株式CFD、バラエティCFDなどの多種多様なCFD銘柄を取り揃えています。スプレッドが狭く、取引コストを抑えて始めることができます。また、各調整額においても投資家にとって非常に有利な内容になっているため、安心してお取引いただけます。
ツールに関しても、パソコンやスマホ、タブレットやAppleWatchなどさまざまなデバイス上で無料でトレード情報を確認したり、チャート分析したりすることができます。電話やメールで気軽に問い合わせられるため、口座開設のやり方や注文方法、ツールの操作方法など、疑問点を解決しやすい点も特徴です。無料でCFDデモ取引を体験でき、初心者にも向いています。ぜひ、GMOクリック証券でのCFD取引を検討ください。
- 最短30分で取引開始!
- 口座開設無料