CFDには、価格調整額、権利調整額、金利調整額という3種類の調整額が発生します。それぞれどのようなものなのかを見ていきましょう。
価格調整額
参照原資産となる先物には期日があるため、参照している先物が期日を迎える前に期近から期先へ参照原資産を変更する必要があります。
しかし、先物は限月によって価格が異なるため、限月の変更によってCFDの建玉に発生する評価損益を相殺する目的で価格調整額が発生します。
- 対象となる銘柄
- 日本225、WTI原油など参照原資産が先物の銘柄
価格調整額が発生する理由
価格調整額は、CFDの参照原資産である先物の限月を乗り換えることによって、CFDの建玉に発生する評価損益を調整するためのものです。
- 限月ごとに価格が異なる理由
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先物の価格は現物価格以外にも短期金利や配当利回り、保有コストなど様々な要因によって決まります。
そのため、同じ商品でも期日までの期間が異なると価格にも差が生じます。
- CFDの価格が変わってしまうと・・・
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参照する先物の限月を変更したことによってCFDの価格が変わってしまうと、CFDのポジションを保有している人は相場が変動していないのに評価損益が変動することになってしまいます。
価格調整額は、そのような評価損益を相殺するために受け払いされるのです。
- 価格調整額のプラスとマイナス
- 先物価格が期近<期先の場合、買い建玉の価格調整額はマイナスとなり、売り建玉の価格調整額はプラスとなります。
先物価格が期近>期先の場合、買い建玉の価格調整額はプラスとなり、売り建玉の価格調整額はマイナスとなります。
権利調整額
権利調整額は、参照原資産が株式やETF・ETNのCFDに発生する調整額です。
- 対象となる銘柄
- 株式CFDや株価指数ETF、ハイレバレッジ型ETF・ETNなど
権利調整額が発生する理由
権利調整額は、CFDの参照原資産の株式等において配当金・分配金の支払いやコーポレートアクションが行われた際に、株主が受け取ることができる権利をCFD保有者にも付与するためのものです。
- 配当金・分配金相当額
- 参照原資産の株式等において配当金・分配金の支払いが行われると、CFD保有者には権利調整額として配当金・分配金相当額が支払われます。ここで注意しなければいけないのは、CFDを買いで保有していれば権利調整額を受け取ることができますが、CFDを売りで保有している場合は権利調整額を支払わなければならないということです。
【ポイント】
- CFD買いなら権利調整額は受け取り。
- CFD売りなら権利調整額は支払い。
- コーポレートアクション
- 株式CFDの参照原資産の株式の発行体企業がコーポレートアクションを行い、株主になんらかの権利が付与されることになった場合、その権利相当額を権利調整額で支払うことがあります。
たとえば、参照原資産の発行体企業が、会社の一部門を分離して別の会社として独立させる場合に、分離された企業の株が元の企業の株主に付与されることがあります。こういった場合に、付与される株に相当する金額が権利調整額として支払われることがあります。
金利調整額
金利調整額は、参照原資産が株式やETF・ETNのCFDやスポットのCFDに発生する調整額です。
- 対象となる銘柄
- 金スポット、銀スポット、参照原資産が株式やETF・ETNなどの銘柄
金利調整額が発生する理由
金利調整額は、各営業日の取引終了時点でCFDポジションを保有していた場合(オーバーナイトした場合)に発生します。
スポット銘柄の金利調整額は、当社がカバー先と行うロールオーバーのスワップポイントをもとに決定いたします。
また、株式CFDの金利調整額は、当社がカバー取引を行う際に発生する金利および貸株料に銀行間金利を加味したうえで当社が決定いたします。
【ポイント】
- 金利調整額は、翌日にポジションを持ち越さなければ発生しません。