
テクニカル分析の代表格として、ボリンジャーバンドは幅広い層に活用されています。ボリンジャーバンドには、「スクイーズ」「エクスパンション」「バンドウォーク」と呼ばれる状態があり、今後の値動き予測に活用することができます。
テクニカル指標としては、比較的容易に売買判断できる分析方法ですが、よく理解しないままボリンジャーバンドを過信してしまうと、誤った認識で売買判断をしてしまうため、しっかりとどういったテクニカル分析なのかを把握しておきましょう。本記事では、FXにおけるボリンジャーバンドの使い方や活用するときの注意点を解説します。
FXのボリンジャーバンドとは?

ボリンジャーバンドとは、アメリカのジョン・ボリンジャー氏が考案したテクニカル指標の1つで、価格変動の度合いを表すテクニカル指標です。移動平均線を中心に、標準偏差で計算された「+1σ」「+2σ」「+3σ」「−1σ」「−2σ」「−3σ」という上下の線で構成されます。標準偏差とは、ある一定期間のデータの平均値からどのくらいのばらつきがあるのかを計算した数値であり、上下のバンド幅が広いと価格変動の度合いが高く、狭いと価格変動の度合いが低いと判断します。
FXのボリンジャーバンドの見方
ボリンジャーバンドには、「スクイーズ」「エクスパンション」「バンドウォーク」と呼ばれる状態があります。それぞれ特徴があり、短期的に大きな値動きを期待する場合は「エクスパンション」の状態を覚えておくと良いでしょう。「スクイーズ」「バンドウォーク」にもそれぞれ重要な意味がありますので、次章で解説します。
スクイーズ

スクイーズとは、上下のバンド幅が狭く絞られて収束している状態を指します。スクイーズ状態では、一定の価格帯の中で上下に変動していることから、基本的には「レンジ相場」が継続している状態を指します。同期間で大きな利益を期待できる相場ではないものの、スクイーズのあとには大きなトレンドが発生する可能性が高いため、積極的にポジションを持つというよりは、細かい取引を繰り返しながら相場状況を監視する必要があります。
エクスパンション

エクスパンションとは、上下のバンド幅が拡大している状態を指します。レンジ相場からの脱却状態を意味しており、どちらか一方向に動くトレンドが発生しやすい傾向にあります。バンド幅が狭く絞られているスクイーズからエクスパンションに移行するタイミングで順張りの買いまたは売り注文を行い、バンドの幅が一番拡大したタイミングで注文を決済することで大きな利益を狙うことを目的とします。
バンドウォーク

バンドウォークとは、価格が中央の移動平均線まで戻らずに±1σや±2σのバンドに沿って一方方向に動いている状態を指します。バンドウォークは、トレンドが継続しているときに現れる傾向であるため、トレンドが発生している方向へ順張りでの取引を示唆するサインとなります。
FXのボリンジャーバンドの使い方
FXにおけるボリンジャーバンドの使い方としては、±2σを利用して、逆張りで注文を行う方法もありますが、本記事ではポピュラーな使い方である順張りの取引方法を紹介します。
また、ボリンジャーバンドは他のテクニカル指標と組み合わせて分析することが多いため、組み合わせとして一般的なRSI、MACDとの組み合わせ方法を紹介します。
順張り

ボリンジャーバンドの取引タイミングとしては、上下のバンド幅が狭く絞られて収束しているスクイーズ状態から、ローソク足が±2σを突き抜けた状況が取引タイミングであり、大きなトレンドが発生する可能性があると考えられています。
基本的にはバンド幅が広がれば広がるほど大きな値動きが期待できる状態ですが、バンドの幅が狭くなってきたタイミングでの値動きに注目し、終値が±2σをはみ出したら順張りで買いまたは売り注文をし、バンドの幅が最も拡大したタイミングで決済して利益を確定させる取引方法が一般的です。
RSIと組み合わせて使う

オシレータ系のテクニカル指標であるRSIは、「買われすぎ」や「売られすぎ」といった相場の過熱感を判断する指標です。チャート上で0〜100%の範囲で表示され、70〜80%以上になると買われすぎ、20〜30%以下になると売られすぎと判断します。相場の転換サインとして活用でき、買われすぎている場合には売り、売られすぎている場合には買いのサインと判断します。
ボリンジャーバンドと組み合わせる場合は、過熱感の把握だけでなく、相場の転換のタイミングや強いトレンドの発生を予測します。ボリンジャーバンドで終値が±2σをはみ出したら順張りという取引方法の場合、RSIが買われすぎ、売られすぎを示唆した場合は、一旦様子見を行うということになりますし、相場の過熱感がここから強くなる場合は、まだまだ上昇、下降余地ありと判断できますので、丁寧に売買サインを確認したい場合は、他のテクニカル指標との併用が有効です。
MACDと組み合わせて使う

MACDは移動平均線収束拡散と呼ばれ、移動平均線を改良したテクニカル指標です。MACDは、主にMACD線とシグナル線の2本のラインの交差によってトレンドの転換を判断します。MACD線がシグナル線を下から上へ抜けた場合は買い、上から下へ抜けた場合は売りのサインとなります。
ボリンジャーバンドと組み合わせる場合は、上昇の場合は、+2σからバンド幅が大きくなり、かつ、終値が+2σからはみ出してきているなかで、MACD線がシグナル線を上抜けるような動きの場合は、まだまだ上値余地ありと判断することができます。売りの場合は、買いの場合と逆の考えで活用できます。
FXのボリンジャーバンドの設定方法

ボリンジャーバンドを使ってチャート分析をする際は、チャートに表示するテクニカル指標として「ボリンジャーバンド」を選択することで表示できます。ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心に、標準偏差で計算された「+1σ」「+2σ」「+3σ」「−1σ」「−2σ」「−3σ」という上下の線で構成されていますが、ボリンジャーバンドの開発者であるジョン・ボリンジャー氏は、使い勝手のよさのみで考えると、移動平均線と±2σの合計3本で使用することを推奨しています。
また、設定期間は中期的なトレンドと値動きの大きさの情報を得るのに十分な期間として「20」を推奨しています。デフォルト設定や詳細な設定方法は、使用するチャート分析ツールによって異なるため、各チャート分析ツールの設定手順を確認しましょう。
FXのボリンジャーバンドの注意点
ボリンジャーバンドを活用する上での注意点は、テクニカル指標全般に言えることですが、ダマシに注意することです。テクニカル指標は売買判断をする上で非常に有効ですが、全てが正しいわけではありません。この点を踏まえながら、ボリンジャーバンドを活用しましょう。また、簡単に上述しておりますが、ボリンジャーバンドの使用方法として逆張りのトレード方法があります。ただし、逆張りのトレードに関しては、順張りと比較すると相場の流れに逆らうことになりますので、難易度が上がります。まずは、順張りから開始し、慣れてきてから逆張りのトレードを考えるようにしましょう。
ダマシに注意する

ボリンジャーバンドを使うことで、将来の値動きを予測して売り時と買い時を見極められるものの、ダマシが発生することもあるため注意が必要です。ダマシとは、売買シグナルと逆の方向へ相場が動いてしまうことを指します。たとえば、上下のバンド幅が狭く絞られて収束しているスクイーズ状態からローソク足が±2σを突き抜けてその方向に大きなトレンドが発生すると思いきや、予測した方向とは逆の方向に価格が動くケースなどが該当します。
必ずしも理論通りの動きをするとは限らないため、ボリンジャーバンドで特徴的な動きが見られたからといってすぐにエントリーするのではなく、ボリンジャーバンドとほかのテクニカル指標を併用してしっかりと値動きを予測することが大切です。
逆張りは慣れてから試す

逆張りとは、トレンドに逆らった取引を指します。たとえば、下降トレンドのときに買い、上昇トレンドのときに売りの取引を行います。価格が下げ止まる安値を狙っての買い、上げ止まる高値を狙っての売りという取引になるため、想定通りの動きとなれば大きな利益が期待できますが、目測を見誤ると大きなマイナスに繋がってしまいます。
ボリンジャーバンドでは、理論上、価格が±1σの範囲内に収まる確率が約68.3%、±2σの範囲内に収まる確率は約95.4%、±3σの範囲内に収まる確率は約99.7%とされています。つまり、±2σ線を越える確率はおよそ4.6%、±3σ線を越える確率は1%未満であるため、価格が±2σ線や±3σ線に近づいたときには、その後中心に戻ってくる可能性が高いと予想でき、逆張りが有効に見えます。ただし、逆張りは値動きが反転する前にエントリーするため、エントリー後に反転しなければマイナスを計上する可能性があることを把握する必要があります。損失を抑えるためにも、分析力や判断力が身についてから逆張りを試しましょう。
まとめ
FXにおいて、価格変動の度合いを表すボリンジャーバンドというテクニカル分析を用いれば、将来の値動きが予測できます。ただし、予測した方向とは逆の方向に価格が動くダマシが発生する場合もあるため、過信しすぎないことが大切です。
ボリンジャーバンドで特徴的な動きが見られたからといってすぐにエントリーするのではなく、ほかのテクニカル指標と組み合わせてしっかりと値動きを予測しましょう。逆張りが有効なトレード方法に見えますが、順張りにも有効であるため、慣れるまでは順張りの取引を行い、トレード実績を積んだ後に逆張りの取引を検討しましょう。
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