FXの逆指値注文は、投資家が市場価格の動きに応じて自動的に取引を行う注文方法の一つです。逆指値注文は、投資家が特定の価格に達した場合、自動的に売買注文が実行されます。例として、現在の価格が上昇している場合、投資家は指定した価格以上で買い注文を設定し、逆に価格が下落している場合は、指定した価格以下で売り注文を設定します。逆指値注文の基本的な用途は、これ以上損失を出したくない(損切りを行う)、マーケットを監視できる状況にないなどの状況で、リスク回避方法として使用されます。
本記事では、FXで使える逆指値注文の意味や指値注文との違いを解説したうえで逆指値注文の発注方法や注意点を紹介します。また、発注方法については、取引プラットフォームの使い方や設定方法、注意点として価格の急変やスリッページの可能性などを解説します。
FXの逆指値注文とは?
FXの逆指値注文とは、現在の価格が指定価格よりも値上がりしたら買う、または指定した価格よりも値下がりしたら売るという注文方法です。通常、FX取引では安く買い、高く売ることで利益を生みますが、逆指値注文では逆の発想が求められます。
このように不利な注文方法を行うことに、疑問を感じる方もいらっしゃると思います。なぜなら、一般的には価格が下落した時に安い価格で買う、価格が上昇した時に高い価格で売ることが得策と考えられているからです。
しかし、逆指値注文は価格の変動に応じて自動的に取引を行うことができるため、特定の市場状況においては有益な取引戦略となり得ます。逆指値注文は、決済注文を行う場合に使われることが多いですが、指値注文と同様に新規のポジションを持つ場合にも利用できます。決済注文では、既存のポジションの利益の確定や損失を確定するために自動的に売買を行いたい場合に有用です。逆指値注文を理解し適切に活用することで、取引戦略の幅を広げることができます。
指値注文との違い
逆指値注文と指値注文は、それぞれ価格の動きに応じて自動的に売買注文を行う方法です。逆指値注文は、指定価格よりも価格が上がったら買う、指定価格よりも価格が下がったら売る注文であり、指値注文は指定価格よりも価格が下がったら買う、指定価格よりも価格が上がったら売る注文方法です。名前の通り、逆指値注文は指値注文の逆の動きをする注文方法です。
また、FX取引では指値注文と逆指値注文を同時に発注し、どちらかが約定したらもう一方はキャンセルを行う「OCO注文」が利用できる場合があります。OCO注文を利用することで、取引をより効率的に管理することができます。
FXで逆指値注文を発注する方法
FX取引を行う上で、逆指値注文を活用する場面はいくつかあります。スキャルピングに特化した取引を行うトレーダーはあまり使う場面がないかもしれませんが、デイトレードやそれよりも長いポジショントレードなどを行うトレーダーには、非常に有効な注文方法になります。逆指注文では、新規注文として活用する場合、決済注文で活用する場合に分かれますので、次章で発注方法などを紹介します。
新規注文で逆指値注文を利用する場合
事例として紹介します。米ドル/円が140円〜145円のレンジ相場の場合、チャート分析の結果、価格が146円まで上昇した場合にはレンジ相場がブレイクアウトし、上昇トレンドが始まると仮定します。
まず、投資家は146円を指定して買い逆指値注文を設定します。これは、価格が146円に達した瞬間に自動的に買いポジ
ションが執行される注文方法です。これにより、ブレイクアウトが起こった直後の上昇トレンドに参加することができます。別のケースでは、ドル円が140円〜145円のレンジ相場の場合、価格が139円を下回った場合にはレンジ相場が終わり、下落トレンドが始まると仮定します。
この場合では、139円を指定して売り逆指値注文を設定します。価格が下落して139円に達した瞬間に自動的に売りポジションが成立する注文です。この売り注文は、価格が下落していくトレンドに参加するための戦略です。
買い注文の場合は、「ASK」レートが設定値段に達した場合に成立し、売り注文の場合は「BID」レートが設定値段に達した場合に成立します。
具体的な操作手順として、GMOクリック証券が提供するFX取引サービスの「FXネオ」のスマホアプリ「GMOクリック FXneo」を使用する場合、以下のような手順で逆指値注文を設定します。
- アプリを開き、下部メニューから「通貨ペア」をタップして希望の通貨ペアを選択します。
- 次に、下部メニューから「トレード」をタップします。
- 画面上部に売り・買いの画面が表示されたら、希望する取引方向をタップします。
- 取引数量を入力します。
- 執行条件を「逆指値」に変更し、指定したい注文レート(この場合は146円)を入力します。
- 有効期限を選択します。
- 最後に、「確認画面へ」をタップし、発注内容を確認します。問題がなければ「注文確定」をタップします。
- これにより、トレーダーはスマホアプリを使用して簡単に逆指値注文を設定し、取引戦略を実行することができます。
決済注文で逆指値注文を利用する場合
投資家が138円の米ドル/円の買いポジションを保有しており、現在は141円付近で推移しているとします。チャート分析の結果、ドル円が141円から下落して140円を下回る場合には下降トレンドに転換するかもしれないと考えた場合を仮定します。投資家は決済注文として140円に逆指値注文を出します。これは、価格が140円に達した瞬間に自動的に買いポジションが決済される注文です。逆指値注文ではありますが、この場合140円に逆指値注文を出すということは、2円分の利益を最低限確保するという決済注文になります。また、140円に下落することなく、再び上昇していく場合は、改めて逆指値注文の価格を引き上げる、成行注文で決済するなどの選択肢がありますので、ケースバイケースで柔軟に対応することができます。
逆指値注文を利用するメリット
逆指値注文という言葉だけを聞くと、どうしても損切りとイコールなのではないかと推測される方もいらっしゃると思います。ただ、逆指値注文を有効活用することでトレードの効率化はもとより、幾つかのメリットが享受できます。次章では、幾つかの事例を紹介します。
トレンドの流れに乗れる
レンジ相場においては、いずれレンジの上限または下限をブレイクして上昇トレンドまたは下降トレンドが発生する可能性があります。このような場合、トレーダーは新規の逆指値注文を発注することで、ブレイク直後の勢いが強いトレンドに乗ることができます。新規ポジションを建てる場合には、どうしても現状価格よりも有利な指値注文でポジションを成立させたい気持ちは当然ですが、トレンドが構築してしまうとなかなか押し目、戻り目は訪れません。この場合は、逆指値注文を活用し、ブレイク後の強い勢いに追従する形でポジションを作る戦略があります。
ただし、逆指値注文で注文が約定した直後にリターン・ムーブ(価格の反発や反転)が起きる場合は、高値掴みや安値掴みをしてしまうことがあるため、損切りなどを視野に入れる必要があります。指値注文と逆指値注文はそれぞれ特徴やリスクが異なるため、投資家は市場状況や個々の取引戦略に応じて適切な注文方法を選択する必要があります。
自動で損切りや利益確定ができる
保有中のポジションに対して決済注文で逆指値を利用する場合、損切りまたは利益確定が自動で行われるため、投資家は常に相場を確認し続ける必要がありません。この仕組みにより、含み益があるポジションの場合でも、逆指値注文を設定して最低限の利益を確保した状態にしておくことができます。また、様子を見ながらさらなる利益の伸ばし方を検討するなどの選択肢もでてくるため、時間的にも精神的にも有効です。
GMOクリック証券が提供するFX取引サービスの「FXネオ」のスマホアプリを使用すれば、簡単に逆指値注文を設定し、保有中のポジションを管理することができます。デモ取引でも同様の体験ができますので、是非一度お試しください。
FXの逆指値注文に関する注意点
ここまでメリットを中心に紹介しましたが、当然逆指値注文にはデメリットがあります。トレンドブレイクの新規逆指値注文というやり方がありますが、基本的にはリスク回避の損切りに使用することが多い注文方法です。次章では、逆指値注文のデメリットを案内します。
執行条件を満たさなければ発注ができない
逆指値注文は、指定した価格よりも現在のレートが高い(買い注文の場合)または低い(売り注文の場合)場合にのみ設定できます。たとえば、米ドル/円の現在のレートが145円の場合、買い逆指値注文で143円を指定することはできません。なぜなら、指定価格が現在のレートよりも低いため、執行条件を満たさないからです。
したがって、買いの逆指値注文を発注する場合は、現在のレートよりも高い価格を指定する必要があります。逆に、現在のレートよりも低い価格で買いたい場合は、指値注文を使用します。指値注文は、指定した価格で売買注文を発動するため、指定価格が現在のレートよりも有利な場合に執行されます。
逆指値注文は指定価格に達していないと約定しない
相場が上昇している状況では、新規の売り逆指値注文を発注しても、売り逆指値注文は約定しません。新規の逆指値注文方法は、レンジ相場のブレイクアウトした場合に有効な注文方法であり、それ以外の相場ではあまり使用するこがありません。
投資家が逆指値注文を設定する場合は、相場の状況や価格の変動幅を考慮する必要があります。相場が大きく動いている、価格変動が活発な状況では、逆指値注文が約定しやすくなりますが、価格変動の小さい相場付き、方向感がない相場の場合には、逆指値注文の効果が限定される可能性があります。
スリッページが発生する可能性がある
逆指値注文を利用する際には、指定価格と実際に約定される価格との間に差が生じる可能性があり、この差をスリッページと呼びます。相場が急変するタイミングでは、価格の変動幅が大きくなるため、スリッページが発生しやすくなります。この場合、スリッページによって想定外の損失を被る可能性があるため、注意が必要です。
逆指値注文を利用する際には、相場の状況や急変する可能性を考慮し、適切なリスク管理を行うことが重要です。市場の流動性の高い時間帯や、経済指標などの注目度の高いイベントが予定されている場合は、特にスリッページに気を付けましょう。
まとめ
FXの逆指値注文は、現在価格が指定価格よりも上回った場合は買い、指定価格よりも下回った場合は売るといった注文方法になります。文字通り、指値注文とは逆の売買方法になります。
レンジ相場後のブレイクアウトする動きがあった場合、新規の逆指値注文を有効的に活用すると、新たなトレンドが発生する初期段階でポジションを持つことができます。決済の逆指値注文では、損切りや利益確定にも活用できます。ただ、逆指値注文の最も大事な使用方法としては、リスク回避です。リスク回避方法としては、逆指値注文は非常に有効です。大きな含み損はいずれロスカットにも繋がってしまいます。逆指値注文を有効活用し、リスク回避を行いながら、取引を行いましょう。
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