FXで注目される経済指標とは?見方やスケジュールの確認方法を解説

FXネオお役立ちコラム

FXで注目される経済指標とは?見方やスケジュールの確認方法を解説

本記事ではFXで注目される経済指標を解説します。FX取引において、相場の見通しを立てることは非常に重要であり、あらゆる角度からの相場分析は不可欠です。戦略を立てずに曖昧な情報を鵜呑みにしたまま取引を続けてしまうと、思いがけない損失にも繋がりかねません。
この記事では、相場分析に必要な各国の経済指標の概要や確認方法を解説し、FXで重要度の高い経済指標の種類も紹介します。

FXで重要となる経済指標とは?

FXで重要となる経済指標とは?

経済指標とは、各国の公的機関や中央銀行が定期的に発表する雇用、景気、消費などの状況を数値で表す統計データです。投資家にとっては市場動向を理解し、トレードの判断材料として活用するための貴重な情報源になります。具体的にはGDP、失業率、政策金利、消費者物価指数のような経済パラメーターがあり、決まった期日に発表されるため市場関係者はその行方を注視します。

指標の発表内容は各国の金融政策や経済政策を左右し、為替レートの変動要因になるため、為替市場の動向を見極めるうえで有効な手段となります。

たとえば、GDPが市場予想値を上回った場合、その国の通貨は強く評価される傾向があります。逆に、失業率の上昇のような悪い経済データが出れば、通貨の価値が弱まる可能性があります。このように経済状況や政策の変化は、通貨の価値に直接影響を与えるため、経済指標の確認と分析は、FX取引を行う上で非常に重要となっています。

経済指標の見方とスケジュールの確認方法

経済指標の見方

経済指標を正しく解釈し、FX取引でのトレード判断に活かすためには、以下の3つの数値で判断する必要があります。

1.前回値

前回の経済指標との比較は、その経済データの良し悪しの判断に役立ちます。例えば、雇用統計が前回比で改善している場合、賃金の上昇や個人消費の増加を期待できます。反対に悪化している場合は賃金の低下や個人消費の減少が懸念されます。このように前回との違いに着目し、指標の市場への影響を予測できます。

2.予想値

経済指標の予想値は、市場関係者の期待を示します。予想値は事前に専門家やアナリストによって予測され、市場が期待する数値として公表されます。実際の結果が予想値に対して良いか悪いかは市場関係者の心理を左右します。

3.結果

経済指標の実際の結果は、事前の予想値と比較されます。結果が予想値と一致する場合は市場への影響は比較的小さいですが、予想値と結果に差異がある場合は大きな値動きが発生する可能性があります。発表値自体もさることながら、事前の市場予想値と発表値の乖離も市場を左右するため、経済指標の影響度合いを適切に評価する必要があります。

経済指標の確認方法

経済指標の情報の入手はFX会社や証券会社のウェブサイト、経済ニュースから取得可能です。サイトには経済指標のスケジュールや結果が掲載されているので、市場予測に活用できます。
サイトごとに情報の記載方法は異なりますが、一般的には月間、週間、日別に経済指標のスケジュールや前回値、予想値、結果の確認が可能です。そのため、注目すべき指標を瞬時に把握し、トレードの戦略に役立てることができます。

例えば、GMOクリック証券のFXネオでは、経済カレンダーを通じて月別に発表される指標の時間、重要度、各数値などを簡単に確認できます。特に、重要度は「★」の数で表記され、市場への影響の程度を示しています。「★」が5つの指標は為替レートが大きく動く可能性のある最重要指標として抑えてください。

ただし、設定される指標の重要度はサイトによって異なる恐れがあり、より包括的な情報収集のために複数のFX会社や経済ニュースのサイトの参照が求められます。

FXで重要度が高い経済指標の種類

FXで重要度が高い経済指標の種類

FXの主な経済指標は以下の4つに分類されます。

1.金融政策関連

各国の中央銀行が決定する「政策金利」が該当します。政策金利は通貨の価値に密接に関係し、金融政策の方針を示す指標として非常に重要です。

例えば、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を引き上げると、債券市場の長期金利をはじめとしたアメリカの金利が上昇します。すると、投資家にとってドル建て資産の魅力が増すためドルの需要が高まり、米ドル/円などのドルを含む通貨ペアのレートが上昇する傾向があります。

2.雇用関連

雇用に関する指標は、個人の所得や消費の動向に影響を与え、将来の景気の動向を左右する可能性が高いとされています。代表的な指標には「雇用統計」「失業率」「有効求人倍率」があります。

特にアメリカの雇用統計は世界の投資家の注目を集めます。アメリカの雇用統計には失業率、非農業部門雇用者数のようなアメリカの経済状況を反映する重要指標が含まれるためです。雇用統計の内容によって通貨の売り買いが加速するため、主要国の雇用統計は非常に注目度の高い指標です。

3.景気関連

「GDP」や「景気動向指数」など各国の経済状況を表す指標です。特にアメリカやユーロ圏の指標は注目されます。
GDPは国内総生産とも呼ばれ、一定期間内に国内で生み出された付加価値の合計額を表したデータとなり、注目度の高い指標です。その国の経済規模を表しており、対象期間の成長度合いを把握できます。
GDPには付加価値の単純計算による名目GDPと、名目GDPから物価の影響を差し引いた実質GDPがありますが、通常は実質GDPの伸び率が為替相場の変動要因になります。

4.物価関連

消費者が購入するモノやサービスなどの物価の動きを把握する「消費者物価指数」も注目の指標のひとつです。
消費者物価指数の変化によってインフレかデフレかどうかの物価の変動を読み取れます。世界のほとんどの主要中央銀行がインフレ目標の数値を設定しており、消費者物価指数の上昇率を参考にしています。そのため、消費者物価指数は将来的な金融政策の方向性を占う重要データとも言え、アメリカやユーロ圏の消費者物価指数には高い関心が寄せられます。

次項では為替の取引量がとりわけ多いアメリカ、ユーロ圏、日本において、重要度が高い経済指標を紹介します。
※2024年1月時点で確認できる数値を元に記載しています。

アメリカの重要な経済指標

 世界最大の経済大国であるアメリカの動向は、世界中の市場関係者から注目されます。米ドルは国際通貨の中で中心的な役割を担う基軸通貨であり、国際決済銀行(BIS)によると、2022年時点で外国為替取引市場における取引量は全体の4割以上と世界一です。そのため、米ドル/円以外の通貨を取引するトレーダーもアメリカ経済の動向を把握しておくことが重要です。

米ドルが絡む通貨ペアはドルストレートと呼ばれ、通貨ペア別のシェアの約9割を占めます。米ドルが関わる通貨ペアは多く、アメリカの経済指標はFX投資家にとっては必見となります。
カテゴリー別の重要指標は以下の通りです。

1.金融政策関連

アメリカのFRBは、金融政策を決定する「連邦公開市場委員会(FOMC)」を開きます。FOMCは年8回の定期会合に加え、臨時的な追加開催があります。会合後の声明は最終日に公開され、特に市場関係者はFOMCが公表する政策金利に高い関心を示します。また、FOMC参加者が公表する将来的な政策金利見通しや経済見通しにも金融市場は反応します。

2.雇用関連

アメリカの雇用関連の指標では、前項でも少し触れた雇用統計が注目材料になります。雇用統計が重要な理由は、政策金利を決定するFRBの重要な参考データになるためです。
雇用統計は労働市場の動向の把握に欠かせない失業率、非農業部門雇用者数の項目を含みますが、これはGDPの約7割を占める個人消費の変化を見極めるうえで役立ちます。アメリカでは個人消費の増減が経済に影響を与えやすいため、雇用統計の改善や悪化の観測はアメリカ経済全体の見極めに繋がります。

3.景気関連

アメリカの代表的な景気関連指標はGDPです。アメリカのGDPは世界1位となっており、景気関連の指標として海外からの注目度も高いものになります。
アメリカでは四半期毎のデータを発表しており、当月に速報値、翌月に改定値、翌々月に確報値を発表します。特に、速報値発表のタイミングでは為替レートが大きく動きやすく、GDP成長率の前月比からの加速、もしくは鈍化の度合いで経済状況を把握できます。

4.物価関連

アメリカの労働省労働統計局(BLS)が毎月発表する消費者物価指数(CPI)は、消費動向を正確に反映しているとされています。
消費者物価指数には、全対象品目の動向を示す「総合指数」と、季節要因等で価格変動する食料品とエネルギーを除く「コア指数」があります。

ユーロ圏の重要な経済指標

ユーロは、外国為替取引市場における取引量に加え、中央銀行や政府が持つ外貨建て資産(外貨準備)のシェアとしても米ドルに次ぐ第2位を誇るため、現在のFX投資家は米ドルだけでなく、ユーロの動きにも気を配る必要があります。

1.金融政策関連

ユーロ導入国はドイツのフランクフルトに本部を置く欧州中央銀行(ECB)に政策を委ねており、政策金利はECB理事会によって決定されます。
一方、財政政策は国ごとに決定されるため、ユーロ圏の金融政策の舵取りは難易度が高いと言われています。

2.雇用関連

ヨーロッパの雇用関連の指標には、欧州委員会統計局(Eurostat)が公表する「ユーロ圏失業率」があります。アメリカの雇用統計ほど注目される指標ではありませんが、雇用者数や失業者数の変化は消費の動向にも反映されるため、ユーロ圏の先行きの景気の判断材料になり得るでしょう。

3.景気関連

ユーロ圏のGDPは各国の四半期GDPを集計し、輸出入を調整した数値を公表しており、ユーロ圏全体の経済状況を測る重要な指標です。
ユーロ圏は各国の経済状況が異なるため、加盟国によっては国の現状との乖離が生まれます。そのため、ユーロ圏の中でも最も経済規模の大きいドイツの四半期GDPとの比較をすると、より精度の高い情報が得られるでしょう。

4.物価関連

現在のユーロ導入国は20か国に及んでおり、域内の物価変動を測定するため、EU基準による「HICP(ユーロ圏消費者物価指数)」を導入しています。ECBの物価安定に向けた政策目標の参考材料にもなる重要な指標なので注目するようにしましょう。

日本の重要な経済指標

外国為替市場での日本円の取引量は2022年時点で約8%に過ぎませんが、世界第3位のシェアを誇ります。ここでは日本の重要な経済指標を紹介します。

1.金融政策関連

日本銀行が年8回、各2日間開催する「日銀金融政策決定会合」は金融政策に関する事項を審議・決定する重要な会合です。市場予想と実際の決定内容に乖離があると米ドル/円などの通貨ペアで瞬間的に激しい値動きが起こります。

2.雇用関連

日本では、毎月総務省が「完全失業率」を公表します。これは労働力人口のうち、職がなく求職活動をしている人が占める割合で、雇用情勢を示す重要指標です。
諸外国と比較し安定水準にあるものの、予想を裏切る結果が発表された場合には為替レートが動く可能性があります。

3.景気関連

日本のGDPは内閣府が推計しており、日本の経済力を測ります。
日本経済は、バブル崩壊後の1990年代後半以降に低迷が続き、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災は日本経済に深刻な打撃を与えました。その後の2012年末からのアベノミクスによって経済成長率は持ち直しましたが、高い経済成長が続いた1980年代までと比較すると低い状態です。経済力の大きさは為替の価値に繋がるため、日本のGDPの相対的な低下が続けば円の地位低下を招くと見込まれます。

4.物価関連

日本の「消費者物価指数(CPI)」は、総務省が毎月発表しています。ある時点を基準にして同じ財やサービスの費用がどのように変動したかを表した数値です。
日本では基準時点の価格を100とし、品目ごとに比較時点と基準時点の価格の数値を見比べます。ある消費財の数値が翌年に103となれば物価は3%上昇したと見なせます。

FX取引では、消費者物価指数は注目度の高いインフレ指標とされ、日本の消費者物価指数はアメリカ、ユーロ圏ほどではないものの日本で注目するトレーダーも多く、指標次第で米ドル/円などの通貨ペアのレートが動くケースがあります。

FXの経済指標に関する注意点

FXの経済指標に関する注意点

前項ではFXに関連する経済指標を紹介しましたが、ここでは経済指標に関連する注意事項を紹介します。

経済指標の結果によって相場が急変動する場合がある

経済指標は各国の経済状況を示すため、相場に大きな影響を与えます。
前述したアメリカのFOMCや雇用統計といった重要な経済イベントの発表直後には急な値動きに注意しましょう。

経済指標発表時はスプレッドが広がりやすい

経済指標発表時は相場の急変動が考えられるため、スプレッドが広がりやすくなります。スプレッドとは通貨ペアの売値と買値の差額です。
スプレッドが原則固定とされている場合でも相場の急変による拡大の可能性があるため、留意しましょう。

スリッページが発生しやすくなる

スリッページとは注文レートと実際の約定レートの乖離を指します。大きな経済指標の発表直後は、相場の変動が大きいため、スリッページの発生確率が高まります。発表スケジュールを前もって確認し、経済指標の発表時は取引を控えるとリスクを抑止できます。

なおGMOクリック証券では、成行注文を行う際に、許容スリッページを設定することができます。この機能を有効活用することでスリッページのリスクを限定できます。

FXに関連する経済指標を確認しながら取引するなら「FXネオ」の利用を検討しよう

FXに関連する経済指標を確認しながら取引するなら「FXネオ」の利用を検討しよう

ここまでは注目すべき経済指標や注意点を紹介しました。GMOクリック証券が運営するFXネオは経済カレンダーで各国の経済指標を確認できるFX取引サービスです。国、月日、重要度が選択可能となっており、FXトレーダーが必見の経済イベントが一目で分かります。

GMOクリック証券が提供する、アプリなどの取引ツールでは許容スリッページも設定できるため、経済指標の発表で相場の変動が荒れる場合もスリッページのリスクを軽減できる可能性があります。

まとめ

今回は経済指標を重点的に取り扱いました。経済指標は各国の政府や中央銀行が発表する経済関連の統計です。

様々な指標がありますが、金融政策、雇用、景気、物価に関連する指標は特に見逃せません。そしてアメリカやユーロ圏のような世界的に注目される国や地域の経済指標はどの通貨ペアを取引するトレーダーも抑える必要があるでしょう。

また、経済指標の発表直後は相場の変動が激しくなる可能性が高いため、取引を行う際は普段より慎重に取引するように心がけましょう。

GMOクリック証券のFXネオでは、経済指標が記載されている経済カレンダーを確認できるだけでなく、許容スリッページの設定もできるためFX取引の開始を検討する方は、GMOクリック証券のFXネオの利用を検討してはいかがでしょうか。

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