FXのポジションとは?種類や調整・管理するときのポイントを解説

FXネオお役立ちコラム

FXのポジションとは?

FX取引とは、対象通貨ペアに対して買い注文や売り注文を行うことで、ポジションを保有し、売買することで利益を狙うものです。ポジションの量や種類は取引の成果に直接影響するため、ポジションについての理解は重要です。また、利益成果もそうですが、ポジション管理にはリスクを軽減させることにも繋がります。本記事では、ポジションの種類や管理のポイント、注意点について解説します。

FXのポジションとは?

FXのポジションとは?

FXのポジションとは、新規で買い注文や売り注文を行い、まだ決済されていない建玉のことを指します。買い注文で保有している建玉を「ロングポジション」、売り注文で保有している建玉を「ショートポジション」と呼びます。新たなポジションを持つことを「ポジションメイク」といい、ポジションの量や配分を調整するための売買を「ポジション調整」と言います。

FX取引で発生するポジションの種類

FX取引で発生するポジションの種類

FX取引で発生するポジションの種類を解説していきます。「ポジション=保有建玉」のことを指しますが、FX取引ではポジションという言葉が一般的に使用されます。また、ポジションという言葉に絡む言葉も使用されるため、基本用語として覚えておくと便利です。

ロングポジション

ロングポジションとは、投資家が通貨ペアを買うことを意味します。価格が上がることを期待し、その通貨ペアを保有することです。例えば、米ドル円を「買い」で保有している場合、その価格が上がると利益が出ますが、下がると損失が発生します。ロングポジションは、価格の上昇を見込んでポジションメイクするため、買い建玉のことを指します。

ショートポジション

ショートポジションとは、投資家が通貨ペアを売ることを意味します。価格が下がることを期待し、その通貨ペアを保有することです。例えば、米ドル円を「売り」で保有している場合、価格が下がると利益が出ますが、価格が上がってしまうと損失が発生します。ショートポジションは、価格の下落を見込んでポジションメイクするため、売り建玉のことを指します。

スクエアポジション

スクエアポジションとは、投資家が特定の資産や商品に対して保有しているポジションがない状態を指します。この状態では、市場リスクを抱えることなく、ノーポジションの状態で今後相場がどの方向に動くのか様子を見たいときに有効とされます。
また、売りと買いのポジション量が同じ状態の場合もポジションが相殺されることでスクエアポジションが形成される場合もあります。ただし、FX会社によっては同一通貨ペアの両建てを禁止している場合があるため、注意が必要です。

ネットポジション

ネットポジションとは、同一通貨ペアの保有ポジションのうち、買いと売りのポジションを差し引いた実際の保有ポジションのことです。例えば、米ドル円の取引で買いのポジションで30万通貨を保有し、売りのポジションで10万通貨を保有していた場合、ネットポジションは買いの20万通貨となります。ネットポジションは、損失を抑える効果がある一方で、利益も少なくなる可能性があるため、注意が必要です。

FXのポジション比率とは?

FXのポジション比率とは?

ポジション比率とは、FX会社の顧客が保有する通貨ペアごとの買いポジションと売りポジションの比率を示したものです。市場のトレンドや投資家の見解を把握する上で、重要な材料として考えられています。
シカゴIMM通貨先物ポジションは、シカゴ・マーカンタイル取引所で取引される通貨先物における投機筋のポジションの状況を毎週火曜日時点でまとめたものですが、このデータを用いることで、為替市場の状況や他の投資家の動向を把握し、市場のトレンドや流れを読むこともできますので、興味のある方はぜひ確認ください。

保有期間ごとのトレードスタイル

保有期間ごとのトレードスタイル

FX取引では、ポジションの保有期間ごとに4つのトレードスタイルに分類されます。トレードスタイル別の特徴を次章で解説します。ご自身がどのトレードスタイルなのかを確認していただくのもそうですが、こういったトレードスタイルになりたいというものがあれば、是非参考にしてください。

スキャルピング

スキャルピングとは、短期間で何度も取引を行い、小さな価格変動の中で、小さな利益を繰り返すトレード手法です。通常、数秒から数分の短い期間で取引を行い、僅かな価格変動でも取引を行う、最も積極的な取引手法になります。
この手法では、1回の取引で得られる利益は少ないですが、高頻度で取引を行うことで利益を積み重ねます。スキャルピングを行うには、迅速な市場分析と反応が必要であり、精密なエントリーと出口のタイミングが重要です。ただ、利益を積み重ねるためには、常に相場を見る集中力とトレードのタイミングを見極める判断力が必要なため、FXに集中できる時間がある方や、トレードタイミングを見極められる知識と経験がある方に向いています。

デイトレード

デイトレードとは、1日のうちに取引を完結させる取引手法です。ポジションを翌日まで持ち越さず、同じ日に取引を開始して終了します。例えば、朝に取引を始め、その日の終わりにはすべてのポジションを決済することが一般的です。デイトレードを行う際には、市場の短期的な動向やトレンドを捉える能力が求められます。また、取引のタイミングやエントリー、出口戦略を正確に立てることが重要です。デイトレードは、比較的短い期間で利益を確保することを目指すため、高い集中力と即座の判断力が必要となります。

スイングトレード

スイングトレードは、短期的な値動きを利用して利益を得る取引戦略の一つです。この取引戦略では、投資家は数日から数週間にわたる期間で市場の価格変動を捉えようとします。スイングトレードの特徴は、比較的中長期的なトレンドや価格変動を対象としていることです。投資家はチャートのパターンやテクニカル指標を利用して市場の方向性を分析し、その方向に従ってポジションを取ります。
デイトレードよりも長期的な視点を持ちますが、ポジションを数週間保有することもあります。この戦略では、投資家は短期的な価格変動やボラティリティに左右されず、より大局的なトレンドに沿った取引を行います。スイングトレードの成功には、市場の動向を正確に予測する能力やリスク管理能力が重要です。また、ポジションを保有する期間が比較的長いため、投資家はポジションを保有する間に市場の変化に対応するための計画を立てる必要があります。

ポジショントレード

ポジショントレードは、相場の長期的なトレンドを追いながら、数週間から数ヶ月、場合によっては数年にわたってポジションを維持する取引手法です。この手法では、市場の大きな価格変動を捉えることを目指し、長期的な視点で取引を行います。
一般的に基本的な分析やテクニカル分析、そしてマーケットセンチメントなど、さまざまな要素を総合的に考慮してトレードのタイミングを判断します。また、ポジショントレーダーは、大きな価格変動にも耐えられるよう資金を十分に持ち合わる必要があり、こまめなリスク管理が必要となります。
この取引手法の利点は、市場の短期的なノイズやランダムな価格変動に左右されず、より大局的なトレンドに従って取引できる点です。また、デイトレードやスイングトレードと比べて、トレード頻度が少なく、ストレスが少ないとされることがあります。

FXのポジションを調整・管理するときのポイント

FXのポジションを調整・管理するときのポイント

FXのポジションを調整・管理するときのポイントをしていきます。長く取引を行う中では、ポジションの整理、損切りを求められるケースもあります。その時に、全て損切りを行うには抵抗がある方も少なくありません。利益を上げることは最も大事なことですが、同じくらい損を少なくすることも必要になってきます。ここでは、如何に損失を軽減させるのかを解説します。

保有ポジションを分散させる

保有ポジションを分散させるとは、ポートフォリオ内のポジションを複数の異なる資産や通貨ペアに分散させることを指します。これにより、ポートフォリオ全体のリスクを分散し、特定のポジションによる損失を軽減します。
具体的には、異なる種類の資産クラスや異なる通貨ペアに投資することで分散を実現します。例えば、株式、債券、商品、不動産などの異なる資産クラスに投資することで、市場の異なる動きに対するリスクを分散させることができます。また、外国為替市場であれば、複数の通貨ペアにポジションを持つことで、特定の通貨に対するリスクを分散させることが可能です。
ポジションの分散はリスク管理の重要な手法の一つであり、投資家はポートフォリオ内のリスクを分散させることで、より安定した収益を目指します。ただし、ポジションを過度に分散させると、リスクと収益のバランスが悪化する可能性もあるため、バランスを取りながら分散を行うことが重要です。

ポジションを分割決済する

分割決済は、ポジションの全てを一度に決済するのではなく、複数回に分けて決済する方法です。
例えば、ポジションの一部を決済し、残りは保有することです。ポジションを分割決済することで、全てのポジションを一度に決済する場合よりも市場の変動に対して柔軟に対応できます。例えば、保有ポジションの一部を直近の高値で決済し、残りのポジションを保有しておくことで、上昇トレンドが続いた場合に追加の利益を得ることができます。
またリスク管理として分割決済は、市場が予想外の方向に動いた場合に損失を抑える効果もあります。分割決済は、ポジションを柔軟に管理し、リスクを管理する手法の一つです。ポジションを決済する際に分割決済を検討し、リスク管理を強化することが重要です。

年内に含み損を決済すると節税につながる

FXの利益には、20.315%の税金がかかります。ただし、未決済ポジションの含み益は課税対象になりません。つまり、ポジションを保有しているだけでは税金が発生しませんが、わざと年内に含み損を決済することで、その年の利益を減らし、税金を抑えることができます。
逆に含み益は、年が明けてから決済することで税金の支払い時期を延ばすことができます。つまり、含み益が発生した場合でも、それを年内に決済せずに翌年まで持ち越すことで税金の支払いを最適化することが可能です。ただし、税金に関する具体的なアドバイスは個々の状況によって異なるため、専門家と相談することが重要です。

FXのポジションに関する注意点

FXのポジションに関する注意点

FXのポジションに関する注意点を解説します。基本的にはリスクとリターンのバランスをうまく調和させるのかが重要ですが、リターンを優先させる場合どうしてもリスクを軽視してしまうことがあります。ここでは、リターンとリスクを平行に考える内容を紹介します。

ポジションの総数や発注量の上限はFX会社によって異なる

FX業者によって、1度の注文で発注できる最大ロット数や保有できる建玉の上限が異なります。大口取引を検討している場合は、業者が提供する最大建玉数の上限を確認し、自身の取引スタイルやニーズに合った業者を選択することが重要です。また大口取引を行う場合には、一度に大きなロットで取引を行うことで生じるリスクに注意が必要です。大口取引は潜在的に大きな損失を被る可能性があるため、慎重に計画し、リスク管理を行う必要があります
特に初心者は、リスクを最小限に抑えるために少額から取引を始め、経験を積んでから大口取引に挑むことが望ましいと思われます。以上の点を考慮して、適切な取引業者を選択し、適切な取引量で取引を行うことが重要です。また、リスク管理を適切に行うことで、安定したトレードを実現できます。

スリッページが発生する場合がある

スリッページとは、注文した価格と実際に約定された価格の差のことを指します。市場が急激に変動する時や、流動性が低い場合などに発生することがあります。特に高いボラティリティや重要な経済指標の発表時などに発生しやすくなります。
ポジションを建てる際に、意図した価格よりも不利な価格で約定されることを避けるために、「許容スリッページ」が設定できます。許容スリッページを設定することで、指定した範囲内であれば注文が約定されますが、許容範囲外の場合は約定されずにキャンセルされる仕組みのため安心した取引が可能となります。

ポジションを持つことに固執しない

金融取引において「ポジポジ病」と言われる言葉があります。「ポジポジ病」とは常にポジションを持っていたいという状態に使われる言葉です。以下に、その特徴や影響について詳しく説明します。ポジポジ病にかかると、チャンスを逃したくない、損失を取り返したいという強い欲求から、常にポジションを持ち続けたいという状態になります。
この状態では、冷静な判断ができず、取引を行う際に感情が先行してしまうことがあり、不必要な取引が増え、取引コストや損失が増大することがあります。また、感情や焦りが先行し、取引が感情的になりがちです。そのため本来のトレードプランや戦略から逸脱し、不必要なリスクや取引コストが増大する可能性があります。
ポジポジ病から抜け出すためには、落ち着いて冷静な判断ができるようにすることが重要です。そのためには、相場から離れることも大切です。一時的にトレードを休止する、トレードの頻度を減らすことで、冷静な判断を取り戻すことができます。自分自身のトレードスタイルや行動パターンを客観的に見直すことも有効ですポジポジ病は多くのトレーダーが直面する課題ですが、冷静な判断と取引の継続的な評価を行うことで、克服することが可能です。

まとめ

保有するポジション量や通貨は、損益に直接影響を与えます。ポジションの持ちすぎや、常にポジションを持っていたいと思うことは、損失のリスクを高める可能性があります。そのため適度なポジション管理を行うことが重要です。リターンの部分だけでなく、リスクとリターンを平行に考えるようにしましょう。
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