FX取引では、通貨ペアの売値と買値の価格差である「スプレッド」が取引のコストとして発生します。
本記事では、スプレッドの概要や取引コストの計算方法、スプレッドが変動しやすいタイミングなどを詳しく解説します。
FXのスプレッドとは?
FX取引で通貨を買う時の価格(買値)と売る時の価格(売値)は別々に設定されており、この価格差を「スプレッド」といいます。
売買のたびにスプレッドによる差額が生じるため、スプレッドはFXをする際の「実質的なコスト」となっています。
価格差が小さい場合、つまり売値と買値の差が狭い場合、それを「スプレッドが狭い」と表現します。逆に、価格差が大きい場合は「スプレッドが広い」と表現します。
FX会社は独自にスプレッドを設定しており、同じ通貨ペアであってもFX会社によってスプレッドが異なります。取引1回あたりのコストは少額かもしれませんが、取引を重ねるほどコストは積み重なっていきます。
したがって、スプレッドが狭いFX会社を選ぶことで取引コストを最小限に抑え、利益を最大化することが可能となります。
FXで使われるスプレッドの単位
スプレッドの単位として一般的に使われるのは、「銭」と「pips(ピップス)」の2つです。
「銭」は日本円を含む通貨ペア(米ドル/円、ユーロ/円など)で使われる単位です。たとえば、米ドル/円の売値が「148.000円」で買値が「148.002円」であれば、そのスプレッドは0.002円であり、「0.2銭」となります(1円=100銭)
一方、「pips」は日本円を含まない通貨ペア(ユーロ/米ドル、ポンド/米ドルなど)で使われる単位です。たとえば、ユーロ/米ドルの売値が「1.00000ドル」で買値が「1.00020ドル」であれば、そのスプレッドは0.0002ドルであり、「2pips」と表されます。
取引コストの計算方法
FX取引におけるコストは、スプレッドと取引する通貨ペアの数量を掛け合わせることで算出できます。
たとえば、米ドル/円の取引において、スプレッドが0.2銭(0.002円)であり、1万通貨の取引を行うとします。この場合、スプレッドが1万通貨あたり0.2銭なので、0.002円(0.2銭) × 1万通貨 = 20円の取引コストがかかることが分かります。
外貨同士の取引では、最終的に日本円に換算して取引コストを算出します。
たとえば、ユーロ/米ドルの取引においてスプレッドが2pipsであり、1万通貨の取引を行うとします。この場合、2pipsが1万通貨あたり0.0002ドルなので、0.0002ドル × 10,000通貨 = 2ドルの取引コストがかかることになります。
そして、現在の為替レートが1ドル=140円であると仮定すると、この例の取引コストは280円になることがわかります。
取引コストの正確な金額は、スプレッドと通貨の数量を考慮し、最終的に日本円に換算することが必要となります。
スプレッドが取引に与える影響
ここではスプレッドの違いが取引に与える影響について解説します。
米ドル/円の取引において、スプレッドが異なる2つのFX会社、AとBがあるとします。「FX会社A」のスプレッドが0.2銭で、1万通貨の取引を行うと、0.2銭(0.002円)× 10,000通貨 = 20円の取引コストがかかります。
一方、「FX会社B」のスプレッドが0.3銭で同じ取引を行うと、0.3銭(0.003円)× 10,000通貨 = 30円の取引コストがかかることになります。
この例では、「FX会社A」と「FX会社B」で、同じ1万通貨の取引をした場合、10円のコスト差となります。
1回あたりのコスト差は小さいですが、取引回数が増えれば増えるほど、スプレッドの差による取引コストの差が累積するため、費用を抑えるためにもスプレッドの狭いFX会社を選ぶことが重要です。
スプレッドの種類
スプレッドには、「変動制スプレッド」と「固定スプレッド」の2種類があります。この章では2つのスプレッドの違いについて説明します。
変動制スプレッド
変動制スプレッドは、為替レートの変動に応じて売値や買値が変動する仕組みです。
為替相場が安定している場合や取引の活発な時間帯にはスプレッドが狭くなる傾向がありますが、市場が不安定な時期や取引が少ない時間帯などではスプレッドが広がることがあります。
スプレッドが広がることで取引コストが増大し、取引時の利益が減少することが考えられるので、取引の際はスプレッドを意識して取引するようにしましょう。
固定スプレッド
スプレッドが小刻みに変動すると、投資家が取引を行いにくくなるため、多くのFX会社はスプレッドを原則として固定しています。それぞれのFX会社は通貨ペアごとのスプレッドを公表し、大きな為替変動がない限り、固定されたスプレッドで取引できるようにしています。これにより、投資家はスプレッドが固定されているという安心感を持って取引を行いやすくなります。
なお、FX各社は公表しているスプレッド以下の数値となった時間の割合を表す「スプレッド提示率」をサイトなどに掲載しています。この数値から、取引が可能な時間帯において固定されたスプレッドがどれほど一定に保たれていたかを知ることができます。
投資家はFX会社が公表する「スプレッド提示率」を確認することで、取引時にどれだけスプレッドが維持されているかを把握し、取引の信頼性や安定性を評価することが可能です。
スプレッドが変動するタイミング
顧客が取引しやすいように、原則固定スプレッドとしているFX会社が多いですが、原則固定スプレッドであっても、例外的に変動することがあります。スプレッドが変動するタイミングを以下の章で紹介していきます。
早朝などの流動性が低いとき
流動性が高い市場では、売買注文が多く、売り買いのバランスが取れるため、価格の値動きが比較的安定しており、狭いスプレッドで取引ができる傾向があります。
一方、流動性が低い市場では、市場に参加しているトレーダーが少ないため、取引が成立しにくくなります。この状況下では、スプレッドが広がり、取引コストが増大する可能性が高まるため、注意が必要になります。
流動性が低下する時間帯の代表例として、ニューヨーク市場の取引時間終了後、日本時間の朝の時間帯(7時過ぎ頃、夏時間であれば6時過ぎ頃)、休日や祝日、クリスマスや年末年始などがあります。このような時間帯は、市場参加者が少なくなるため流動性が低下し、価格変動が大きくなる傾向があります。流動性が低下する時期には、スプレッドの拡大に注意して取引するようにしましょう。
経済指標の発表があるとき
各国中央銀行の政策金利や米国の雇用統計などの重要な経済指標が発表される前は、市場参加者が大幅な為替レートの変動を警戒して、取引を手控える傾向があります。このような重要な経済指標の発表が控えている期間は、市場が不安定になり、投資家やトレーダーが取引に慎重になることから流動性が低下することが一般的です。
また、経済指標が発表された後は、投資家たちが発表内容を踏まえて市場での取引を再開するため、市場が再び活発になります。しかし、この発表直後の市場では、情報の影響を受けて価格が急激に変動し、一方向に価格が動くことがあります。このような状況下では、注文が売りまたは買いのどちらかに偏り一時的に流動性が失われることがあります。
このように経済指標の発表前後の市場では、価格の急激な変動や取引相手の減少などが見られることから、スプレッドが拡大する場合があります。
突発的な出来事が発生したとき
災害、テロ、要人の発言などの突発的な出来事が発生すると、為替市場や金融市場全体に大きな影響が及ぶことがあります。これらの出来事がニュースで報道されると、市場では価格が急激に変動し、スプレッドの拡大が生じる可能性が高まります。取引の際には、スプレッドの拡大や価格変動の影響を受ける可能性があることを考慮してリスク管理を行うよう心がけましょう。
まとめ
スプレッドとは、FX取引における「売値」と「買値」の価格差を指します。スプレッドはFXをする際の「実質的なコスト」となっているため、スプレッドが狭いFX会社を選ぶことは、取引のたびにコストが積み重なることを考えると非常に重要です。
スプレッドには「変動制スプレッド」と「固定スプレッド」の2種類があり、「固定スプレッド」であればスプレッドの変動を気にせずお取引することができます。
一方で、原則固定スプレッドであっても、早朝などの流動性が低い時や、経済指標の発表時、テロや災害などの突発的な出来事が発生した時などは、例外的に変動することがあるので注意しましょう。
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