ロスカットの仕組みや執行基準を知っておくのは、FX取引を始める前に押さえておくべき内容の1つといえます。
そこで本記事では、ロスカットについての説明、証拠金維持率の計算方法、ロスカットにならないようにする方法などについて詳しく解説します。
FXに関心を持ち始めたもののルールがよくわからず悩んでいる方や、FXの基本を把握した上で始めることを決めたい方などは、参考にしてみてください。
FXのロスカット制度とは?
ロスカットとは、FX取引で一定の水準以上の損失が発生した場合に、保有しているポジション(※)を自動的に清算する仕組みのことです。
FX取引は、相場の急変動やレバレッジ次第では大きな損失が出る可能性があります。ロスカットはこのような事態から投資家を守る目的のため、証券会社各社で導入されております。
※新規で買い注文をしたり売り注文をして決済していない状態をポジションを持つと表現します。例えば、米ドル/円で1,000通貨分の新規買い注文をした場合「1,000米ドル/円の買いポジションを持つ」と言います。
FXのロスカット基準と計算方法
FXのロスカット基準は、ポジションを維持するために必要な証拠金が一定水準未満になった場合にポジションを自動的に決済する基準です。
一般的には「証拠金維持率」がロスカット基準となります。
証拠金維持率とは簡単に言うと、取引に必要な証拠金(必要証拠金)に対して、どの程度資金(有効証拠金)に余裕があるかを表すもので、「有効証拠金÷必要証拠金×100」で計算されます。また、レバレッジ25倍の必要証拠金は「現在レート×取引数量÷25」で計算されます。
【証拠金維持率の計算例】
FX口座に10万円、1ドル100円で1万通貨保有した場合の証拠金維持率は?
10万円÷4万円(※)×100=250%
証拠金維持率は250%
※必要証拠金:100円×1万通貨×4%
ロスカットが執行される水準はFX会社ごとに異なり、例えばGMOクリック証券の「FXネオ」では、証拠金維持率50%未満まで低下するとロスカットの対象となります。
証拠金維持率はリスク管理を行う上で非常に重要なものになりますので、よく理解をした上でFX取引を行うようにしましょう。
ロスカット基準となる証拠金維持率の計算例
ここでは、具体的な例を元にロスカット基準となる証拠金維持率の例を見ていきましょう。
新規取引開始時
下記取引をした場合の証拠金維持率を計算してみます。
- 口座に30,000円入金
- 1ドル150円の時に1,000通貨の買いポジションを持つ (レバレッジ25倍)
この場合、「必要証拠金」は、6,000円(150円×1,000通貨÷25)、「有効証拠金」は3万円となり、証拠金維持率は500%となります。
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証拠金維持率 = 30,000円 ÷ 6,000円 × 100 =500%
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保有ポジションでマイナスが発生した場合 ①追証発生水準
先ほどの例を元に、ポジションを保有した状態で価格が下落して1ドル125円になった場合の証拠金維持率の計算方法についてみてみましょう。
- 口座に30,000円入金
- 1ドル150円の時に1,000通貨の買いポジションを持つ (レバレッジ25倍)
- その後、価格が125円に下落
必要証拠金は、その時の価格である125円を元に計算するので、5,000円(125円×1,000通貨÷25)となります。
有効証拠金は、入金している30,000円から、保有しているポジションの損失分を差し引いて計算します。
まずは保有しているポジションの損失分を計算してみましょう。150円で買ったポジションが、125円まで下落しているので保有ポジションの損失額は-25,000円((125円-150円)×1,000通貨)となります。
入金している金額から、保有ポジションの損失分を差し引いた金額5,000円(30,000円ー25,000円)が有効証拠金となります。
これらを元に計算すると、この時の証拠金維持率は100%となります。
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証拠金維持率 = 5,000円 ÷ 5,000円 × 100 =100%
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証拠金維持率100%を下回ると「追証」が発生します。
追証とは含み損が発生している状況で、必要証拠金に対して不足額の入金を求める制度です。追証が発生した場合は追加資金の入金をするか、ポジションの決済が必要なので注意しましょう。
保有ポジションでマイナスが発生した場合 ②ロスカット発生水準
先の例から更に価格が下落し、証拠金維持率が50%未満となった場合をみてみましょう。
150円で購入したポジションがさらに下落し、122円まで下がったとします。
- 口座に30,000円入金
- 1ドル150円の時に1,000通貨の買いを行う (レバレッジ25倍)
- その後、価格が125円に下落し、更に122円まで下落。
必要証拠金は、先ほどの例と同様に現在の価格で計算すると、4,880円(122円×1,000通貨÷25)となります。
有効証拠金は、入金額、および保有ポジションの損失額を元に計算します。
保有ポジションの損失額は-28,000円((122円-150円)×1,000通貨)となるので、有効証拠金は2,000円(30,000円−28,000円)となります。
これらを元に証拠金維持率を計算すると、41%となります。
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証拠金維持率 = 2,000円 ÷ 4,880円 × 100 =41%
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ロスカット水準の50%を下回っているので、122円まで価格が下落するとロスカットが執行されます。
※ロスカット水準が50%の場合。
※実際には証拠金維持率が50%を下回ったタイミング(122.448円)でロスカットが執行されます。
FXのロスカットに関する注意点
先に述べたように、一般的にFXのロスカットは、証拠金維持率が一定の水準を下回った場合に執行されます。
ただし、ロスカットが執行されるとしても、ロスカット基準となる価格での約定や、損失額を保証するものではないと言う点に注意する必要があります。
例えば、相場が急激に変動した場合は、ロスカット基準となる価格で決済されずに、さらに損失が拡大してしまうリスクがあり、預託された証拠金を上回る損失が発生する可能性もあります。必ずしも一定の基準で約定されるとは限らないので注意しましょう。
リスクに備えて、余裕を持った資金で取引することが大切です。
FXでロスカットされないようにする方法
ロスカットは損失の拡大を防ぐための役割でもありますが、自分の意図しないところで強制的に損失が確定することにもなるため、できればロスカットを回避したいと考える方も多いでしょう。
ここでは、FXでロスカットにならない方法について解説していきます。
許容できる損失額を設定し、必要に応じて損切りを行う
ロスカットされないためには、事前に許容できる損失額を設定することが大切です。
許容できる損失額は、保有している資金、経験や知識など個人の状況によって異なります。取引する前に、今の自分の状況ならどこまでの損失なら許容できるかを把握するようにしましょう。
許容できる損失を超えた場合は、すぐに「損切り」することも大切です。
損切りとは、投資家自身の判断で含み損を抱えているポジションを決済し、損失を確定させることを指します。
初心者の方はなかなか損失を受け入れることができず、評価損益がプラスに転じるまでポジションを保有しようと考えがちですが、更に損失が拡大して想定以上のマイナスになる可能性もあります。自分の損失許容額で損失を確定させ、次の投資に繋げることも重要です。
ストップロス注文を設定する
前述の損切りを行う際には、「ストップロス注文」を活用してみることも一案です。
ストップロス注文とは、保有しているポジションに想定以上に損失が出ないように、あらかじめ損切りのラインを決め、そこにタッチした場合に自動的に決済される注文方法のことです。「逆指値注文」と呼ばれることもあり、このような注文方法により、損失を一定の範囲に限定することができます。
ストップロス注文を活用すれば、取引画面を常時監視しなくとも損切りができるため、取引にかかる負担を抑えられます。
レバレッジを適切に活用する
ロスカットを防ぐためにはレバレッジの設定にも注意しましょう。
証拠金よりも大きな金額で取引を始められるのが、レバレッジの特徴です。国内のFX会社の場合は、最大25倍のレバレッジをかけて取引をすることができます。
少ない自己資金で取引ができるのはメリットと言えますが、高いレバレッジをかけて取引すると自己資金に対して損失額が大きくなるリスクもあります。
レバレッジを活用する際は、どの程度の価格変動でロスカットラインに到達するのか計算・確認するようにしましょう。
FX取引をするには「FXネオ」を検討しよう
FX取引を始めたい方は、GMOクリック証券の「FXネオ」を検討してみましょう。
GMOクリック証券のFXネオには高機能ツールが複数提供されているため、様々な相場分析が可能です。
テクニカル指標を用いたチャート分析機能からワンクリックのスピード注文、複数の注文メニュー、各通貨ペアのレートなど、多彩な機能が搭載されているのが特長です。また、チャートや為替に関する情報をツール内で確認できるので、損切りのタイミングなどの把握に役立ちます。
また、FXネオのデモ取引を活用すれば、仮に損失が発生しても自己資金を失わないので、FX初心者の方の練習に適しています。
FXネオは口座開設無料で、手続きから最短当日にFX取引を開始できます。この機会にぜひ、FXネオで取引を始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
FXのロスカットは、証拠金維持率が一定の割合を下回った場合に保有しているポジションを強制決済される仕組みです。顧客の損失拡大を防ぐための制度で、どの証券会社でも導入されています。ロスカットが執行される水準については各社で異なるため、口座開設前に確認しておきましょう。証拠金維持率の計算方法を理解した上で、余裕のある資金で取引するように心がけることが大切です。
また、ロスカットを発生させないよう、許容できる損失額を設定し損切りを行うことやストップロス注文を設定する、レバレッジを適切に活用するなどのリスク管理が重要となります。
FX取引に興味を持っている方やFXのデモ取引から練習してみたい方は、「GMOクリック証券」の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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