本記事では、高金利通貨として人気のメキシコペソに焦点を当てて、特徴や取引の注意点について解説します。
FXで取引できるメキシコペソの特徴
メキシコは世界有数の産油国であり、その通貨であるメキシコペソは資源国通貨として知られています。また、政策金利が高いことから高金利通貨とも言われています。
そのためメキシコペソの価格は、政策金利の発表やエネルギー価格の変動に大きく影響を受けます。
また、アメリカ経済との関係も密接であり、貿易輸出の約80%、輸入の約40%を対アメリカが占めています。そのため、アメリカ経済の影響を受けやすく、アメリカの消費者物価指数(CPI)や雇用統計といった経済指標の発表にも反応します。
メキシコペソの主な価格変動要因
メキシコペソは新興国通貨にも分類されています。新興国通貨は経済成長が見込まれる一方で、政治情勢の不安や金融政策、急激なインフレ、インターバンク市場の流動性の低さから、急激な価格変動が発生するリスクが主要通貨と比較して高いという特徴があります。
主要国通貨と比較してリスクが大きいことからも「何によって価格が変動するのか」を理解することが重要なのでこの章で詳しく解説します。
メキシコの政策金利
政策金利はその国の通貨の価格変動に大きな影響を与えます。
メキシコの場合、インフレによるメキシコペソ安を抑えるため、2021年6月~2023年3月にかけて、15回号連続で利上げが行われ、この間に政策金利が7.25%引き上げられ、当該期間においてメキシコペソ/円の価格は5.4円付近から7.5円付近まで上昇しました。
この政策金利の引き上げが、38%以上にもなる価格上昇の主な要因の一つとなったと言えるでしょう。
メキシコペソの値動きを分析する際は、政策金利の動向を確認するようにしましょう。
※長らく利上げが続いていましたが、ある程度インフレを抑えることができたとメキシコ中銀が判断したため、2023年3月以降は6会合連続で据え置きとなり、2024年1月時点の政策金利は11.25%に設定されています。
メキシコペソとアメリカ経済の関係性
先ほど述べたように、メキシコはアメリカと地理的に隣接しており、経済関係で深く結びついています。ここでは両国間の貿易に焦点を当ててみましょう。
メキシコとアメリカの貿易関係が強固になったきっかけの一つに「北米自由貿易協定(NAFTA)」の締結が挙げられます。この協定には、関税等の貿易障壁の撤廃や知的財産権の保護や投資環境の整備等が織り込まれており、締結を契機に両国の貿易は大幅に拡大しました。
NAFTA締結により、メキシコの輸出全体の約80%がアメリカ相手となり、アメリカの企業が積極的にメキシコに製造拠点を設けるようになりました。
輸入においても、全体の約40%を対アメリカが占めています。加工貿易の構造上、主な輸入品目は自動車部品を始めとする工業品の原材料や中間財が多くを占めています。
このように、輸出入においてメキシコとアメリカは共依存の関係にあるため、両国の経済状況が相互に影響を与え合う関係になっています。そのため、メキシコペソはメキシコのみならず、アメリカの経済状況の他、両国間の物の行き来に関する協定や関係性の良し悪しも変動要因となります。
近年ではNAFTAに代わるUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の締結や、メキシコとの国境に壁を建設するなど、アメリカとメキシコの関係性に陰りが出てきているように見えます(※)。
両国間の関係性もメキシコペソの価格変動要因となりますので、今後も注視しましょう。
※2024年1月現在
メキシコペソと原油価格の関係性
前述の通り、メキシコは世界有数の産油国です。そのため、メキシコペソの価格は原油価格の動向に影響されます。特に隣国アメリカのWTI(West Texas Intermediate)原油はメキシコペソの動向を捉える上で重要です。
メキシコペソの動向を追う上で、原油価格の見通しや産油国の需給に関わるニュースは、しっかりとチェックしておきましょう。
メキシコペソ/円の見通し
メキシコペソ/円の見通しは、ここまで挙げてきたメキシコの経済上の特徴や政策金利の他、日本の動向にも注目する必要があります。
政策金利の項目でも触れましたが、メキシコのインフレ率は落ち着きを見せており、利上げ局面ではなくなっているとの見方が強まっています。
一方で日本は永らく低金利政策が続いていますが、マイナス金利を解除する見方も強まっています。よって近い将来、メキシコと日本の金利差が縮小することが予想されます。金利差が縮小することで、近年、上昇を続けていたメキシコペソ/円が下降トレンドに入る可能性もあるため、両国の金利差を注視していくことが大切です。
※2024年1月現在
FXでメキシコペソに投資するメリット
取引に必要な資金(証拠金)が少ない
メキシコペソ=約8.6円(2024年1月現在)程であり、レバレッジ25倍で取引する場合、1万通貨の取引が約3,440円でお取引いただけますので、少ない資金で取引できる点で初心者の方にお勧めです。
高いスワップポイントを受け取れる
メキシコペソはトルコリラや南アフリカランドと並ぶ高金利通貨であり、スワップポイントを狙って中長期的にポジションを保有する取引手法が人気です。
日本円が超低金利となっていますので、多くの対円通貨ペアで買いポジションを持つことでスワップポイントが受け取れますが、メキシコペソ/円は特に金利差が大きく、受け取れるスワップポイントも多くなります。
ただし、先ほど述べたように、両国の金利差に変化が見られる局面なので、取引をする際は両国の政策金利の状況を確認するようにしましょう。
※2024年1月現在、日本とメキシコの金利差は11.35%です。
値動きのトレンドが比較的わかりやすい
メキシコペソは、値動きのトレンドを捉えやすい通貨と言えます。メキシコペソ/円のレートは約8.6円周辺を推移しており、2020年以降は政策金利の大幅な引き上げもあり、長らく上昇トレンドとなっていました。そのため、他の通貨ペアと比較すると、比較的値動きのトレンドがわかりやすかったと言えます。
しかし、インフレが一段落し政策金利の引き下げがメキシコ中銀の中で議論され始めていることや、隣国アメリカの利上げ打ち止め観測が強まっていること等から、今後、下降トレンドに転じる可能性もゼロではないため、注視していく必要があります。
FXでメキシコペソに投資するときの注意点
米ドルや円などの主要国通貨に比べて流動性が低い
新興国通貨は主要国通貨とは異なり、インターバンク市場(銀行間取引市場)の流動性が少ないことから、相場が急変する恐れがあります。クリスマスや年末年始は、欧米の取引参加者が離れる傾向が強く、とりわけ流動性が低くなりがちなので、注意して取引するようにしましょう。
スワップポイント狙いでペソ買いに偏る傾向がある
メキシコペソは金利が11.25%と主要国通貨と比較して高いこともあり、スワップポイントを狙った取引が人気です。しかし、それ故に買い注文に偏る傾向があります。投資家のポジションが片方に偏ると政情不安等のネガティブなニュースの発表や消費者物価指数等の経済指標の発表結果が芳しくなかった場合、ポジションの解消の動きにより、今度は売り注文が殺到し、相場が急変することが予想されます。慣れないうちは、少ないポジションで取引してリスクを管理しましょう。
まとめ
メキシコペソは高金利通貨かつ資源国通貨でもあるため、政策金利の発表やエネルギー価格の変動に大きく影響を受けます。
また、輸出入において隣国アメリカの依存度が高く、アメリカの経済や原油等の資源価格の動向によっても価格が変動するため、メキシコの経済状況以外にも、これらに関連するニュースや経済指標を注視して投資戦略を立てましょう。
メキシコペソ/円は少額から取引できる点や、高いスワップポイントを受け取れるため、多くの投資から人気が高まっています。
一方で、主要国通貨に比べ流動性が低く、政策金利の見直しも予想される中、取引する上では経済動向に注意しリスク管理を徹底しましょう。
※2024年1月現在
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