FX取引をする上で、チャートを見る方は大勢いらっしゃるのではないでしょうか。その中でも、チャートにラインを引くことは、チャート分析の中でも基本中の基本であり、非常に重要な手法となります。実際にラインを引くことにより、トレンドの転換点や方向性の判断を行います。また、押し目買いのポイント、戻り売りのポイントをラインで判断することもできます。
ただし、無理にラインを引くであったり、ラインで反発すると思い込んでトレードするなど、ライントレードのやり方を間違ってしまうと大きな損失を出してしまう可能性があるので注意が必要です。本記事では、チャートの登竜門でもあるラインの引き方やライントレードの手法を解説します。
FXのライントレード手法とは?
ライントレード手法とは、チャート上にラインを引いて新規注文や決済などのタイミングを判断する手法です。引いたラインを基準にしてFX相場の動きを見ることで、転換点やトレンドの方向性を把握することを目的とします。メリットとしては、シンプルでわかりやすい手法なので、初心者も使いやすい点が挙げられます。ただし、シンプルであるがゆえに間違ったラインを引いてしまうこともあるため、まずは無理にラインを引かず、わかりやすくラインを引けるポイントにのみに焦点を合わせましょう。
FX取引で利用するラインの種類と引き方
チャートにラインを引く場合、一般的に水平ライン、トレンドライン、チャネルラインが有名なラインの引き方となります。次章では、ライントレードの基本となる3つのラインの解説を行います。
水平ライン
水平ラインとは、チャート上に水平に引くラインのことです。例えば、米ドル/円で150円の水準が重要な場合、150円の部分に水平な横棒のラインを引きます。レンジ相場の場合には上値目途(レジスタンスライン)、下値目途(サポートライン)の水平ラインを引き、水平ラインの突破をきっかけに、新たなトレンドの発生を確認します。
トレンドラインとチャネルライン
トレンドライン
トレンドラインとはFX相場のトレンドに沿ってチャート上に斜めに引くラインのことを指します。目立つ安値を結んだ上向きの線を「上昇トレンドライン」、高値を結んだ下向きの線を「下降トレンドライン」と言い、線の角度でトレンドの強さを判断します。
また、複数の安値を結んだ「サポートライン」は、下落の抵抗圧力になり、ライン付近で反転して上昇しやすいと考えられており、複数の高値を結んだ「レジスタンスライン」は、上昇の抵抗圧力になり、ライン付近で反転して下落しやすいと考えられています。サポートラインやレジスタンスラインに対して、どのような値動きをしているかを見ることで、買いや売りのポイントを把握します。
チャネルライン
チャネルラインとはトレンドラインと並行して描くラインのことを指します。上昇トレンドのチャネルラインは、トレンドラインと平行のラインを高値に合わせて引き、下落トレンドのチャネルラインは、トレンドラインと平行のラインを安値に合わせて引きます。
基本的には、このチャネルの中での推移が中心となるとの見方を行い、チャネルラインを相場が突き破る動きを見せた場合は、突き抜けた方向への新しいトレンドの転換を表すと判断します。
FXのライントレード手法の使い方
FXのライントレードは、上述してある通り、押し目買いと戻り売りのポイントを見極めるために使用します。次章では、この2つのポイントについて解説します。
押し目買い
上昇トレンドの場合、複数の安値を結ぶサポートラインを引き、下落した相場がサポートラインに触れると反転して上昇して行きやすいと考えます。サポートラインによって下落から上昇に反転するポイントが買いのタイミングとして考えられ、跳ね返らずにサポートラインを下抜けすると損切りタイミングと捉えます。
戻り売り
下降トレンドの場合、複数の高値を結ぶレジスタンスラインに触れると上昇から反転して下落しやすいと考えます。上昇してきた値動きがライン付近で停滞し、下落に転じた場合は売りのタイミングと考え、上抜けた場合は損切りのタイミングと捉えます。レジスタンスラインで下落を始め、直近の安値を下回ってから売るという戦略も一考です。
トレンドラインは、チャート分析を行う上で非常に重要な手法です。たくさんあるテクニカル指標を何一つ使わずに、このトレンドラインだけで手法を行うという上級者の方もいらっしゃるくらいです。シンプルなだけに奥深い手法です。是非ご活用ください。
FXでライントレードを活用する際の注意点
次章では、ライントレードを行う上での注意点を解説します。ライントレード手法でも解説しましたが、サポートライン、レジスタンスラインがいつも機能するとは限りません。このラインを突破すると転換が起きやすいため、損切りが遅れてしまうとずるずると損失を拡大させてしまいます。
また、一瞬だけ下抜け、上抜けの値動きがあり、またラインの中に回帰する「だまし」にも注意が必要です。そして、最後に最も重要なことですが、無理にラインを引かないということです。ラインが引きたいがために、本来であればラインを引かないような形状でもラインは引こうと思えば引けてしまいます。ただ、無理に引いたラインは大多数の投資家が見ているポイントではないため、あまり効果がありません。無理矢理ラインを引くくらいであれば、ラインを引かないという選択をすることも大切です。
ラインを突破するとレジサポ転換が起こる
レジサポ転換とは、レジスタンスラインがサポートラインとして機能する現象(逆もあり)です。たとえば、上昇が止まりやすいレジスタンスラインを突破してさらに上昇する場合、売っていたトレーダーは損切りするか含み損を抱えるかを迫られます。
その後、価格がレジスタンスラインまで戻ってくると、含み損を抱えていたトレーダーたちが最小限の損失にしようとポジションを決済する動きが活発化するため、多くの損切り決済により、一時的に(売りの反対売買で)買われることになるためレジスタンスラインで下落が止まり、サポートラインとして機能するようになるレジサポ転換が起きる場合があります。
だましに注意する
「だまし」とは、一方向に価格がラインを突き抜けたあと、反対方向に価格が動くことを指します。「だまし」では、ローソク足チャートの場合はヒゲが形成されるケースが多く、ラインを突破したからといって飛びつくと、大きな損失につながる恐れがあるので注意が必要です。大きな損失を回避するため、ラインを突き抜けたあとに少額エントリーで値動きを見たり、損切りラインを設定したりして、だましの被害を最小限に留める施策をとりましょう。
ラインが引ける部分を無理に探そうとしない
ライントレードは、初心者でも使いやすい手法ですが、むやみにラインを引いても意味がありません。ラインを沢山引くことでチャートの視認性を悪化させますし、意味のないポイントを重要であると誤解を生んでしまいます。ラインを引けない時は引かない、綺麗なラインを引けない時は足種の時間を変えるなど、反発回数にも注目して、トレンドやチャートの分析に役立つ信頼性の高いラインを引くことが大切です。
ラインを信用しすぎない
ライントレードは効果的な手法ではありますが、絶対的なものではありません。ラインを信用することは大事ですが、信用しすぎてしまうと間違った取引を何度もしてしまうため、相場と合わない場合は一旦撤退することも視野にいれましょう。思い込みの例としては、ライン付近で反転するだろうと思い込んで、すぐに新規ポジションを持つことが筆頭として挙げられます。反発回数が多い場合でも、必ず反発するとは限りません、反発せずにラインを無視して価格が上昇・下落することもあります。まずは慎重にポジションを持ち、ライントレードの感覚を養いましょう。
要人発言や経済指標も確認する
テクニカル分析全般に言えることですが、どんなに自身のテクニカル分析が上手くいっていたとしても一気に形成が逆転してしまうことがあります。そのきっかけは、ファンダメンタルズ分析である要人発言や経済指標です。
典型的な例だと、上昇基調が続くマーケットであり、自身が引いたライン通りに価格が上がっていたとしても、米国の雇用統計の結果が悪かった、この場合はドル安になりますし、日銀が利上げをしたら円高に向かいます。また、各国の要人発言だと、パウエル・FRB議長が次回FOMCで利下げを示唆すればドル売りになりますし、植田・日銀総裁が利上げに積極的な発言を行えば円高に向かうなど、一気に局面を変えてしまうのがファンダメンタルズです。ラインだけを意識していると、要人発言や重要な経済指標の発表があったときに大きな損失が出てしまうかもしれないので注意しましょう。
まとめ
チャート上にラインを引いて新規注文や決済などのタイミングを判断するライントレードは、初心者も使いやすい取引手法です。また、相場を見る上で非常に重要なポイントになることも多いため、まずはこのラインを引くことを覚えてください。ただし、無理にラインを引いたり、引いたラインで100%反発すると思い込んでトレードしたりすると、大きな損失が出てしまう可能性があるので注意しなければなりません。シンプルで効果の大きい手法ですが、シンプルがゆえに間違ったラインを引いてしまうとトレード戦略が大きく崩れてしまうので、この点は注意が必要です。
また、「だまし」にも気を付けましょう。「だまし」を100%回避する方法はありません。レンジ突破の際は勢いのある相場になることが多いですが、勢いのある時こそ慎重になることを忘れないようにしましょう。GMOクリック証券が運営する「FXネオ」は、チャートツールにラインの描画機能があります。便利で使いやすいチャートツールを利用したい、ライントレードをしたい方は「FXネオ」を検討しましょう。
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